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ノルドストリーム事故の天然ガスへの影響

by eiga
ノルドストリームはバルト海の海底を通っている。

ロシアからヨーロッパへ天然ガスを供給する海底パイプラインの「ノルドストリーム」で、9月26日に事故が発生してガス漏れが起こった。10月下旬現在でも完全に復旧していないこの事故は、天然ガス価格に少なからず影響すると見られる。

ヨーロッパにとって重要なパイプライン

「ノルドストリーム」とは、ロシアからヨーロッパへ天然ガスを供給する海底パイプラインのこと。ノルドストリームはスウェーデンなどがあるスカンジナビア半島とヨーロッパ本土の間にあるバルト海の海底を通っている。

そして正確にはノルドストリーム1とノルドストリーム2の2つがあり、ノルドストリーム2は2021年に完成したばかり。1と2にはそれぞれ2本ずつのパイプラインがあり、合計4本になる。

発生した事故

そして今年9月26日になってノルドストリームで何らかの事故が起こり、1の2本と2の1本の合計3本のパイプラインからガス漏れが発生。天然ガスがパイプラインから海底に漏れ続ける事態となった。

その後ガス漏れを止める作業が行われ10月3日頃までに漏れは止まったが、ノルドストリームを通してヨーロッパへの天然ガスの供給ができない状態はその後も続いている。ガス漏れが発生しなかったノルドストリーム2の1本は昨年完成したばかり。その後今年2月からウクライナ戦争が始まってロシアとヨーロッパの対立が深まり、まだ本格稼働に至っていない。

天然ガス価格への影響が懸念される

この事故は少なからず天然ガス価格に影響すると懸念されている。天然ガス価格をネット上で見られるサイトは多くあるが、例えば海外CFDブローカーのeasyMarketsには見やすいチャートがある。

とはいえ今のところノルドストリーム事故の影響で天然ガス価格が上がっている事実はない。天然ガスの先物はアメリカとヨーロッパでそれぞれ別の銘柄があり、価格の単位も違うし値動きも違う。

アメリカ・ニューヨーク市場の天然ガス先物は、9月下旬には7ドルだったが10月になって大きく下落し、下旬には5ドルと約30%も下落した。ヨーロッパ市場の天然ガス先物の方は事故発生当時は200ユーロだったが、10月になって同様に下落し下旬には120ユーロになった。

このようにノルドストリームの事故にも関わらず、10月には欧米市場ともに天然ガス価格は大きく下げた。これは今後温暖な気候が続くとの予想が出ていることなどが理由にある。今のところは目立った悪影響はないが、ノルドストリームがまだ完全復旧していないため、今後天然ガス価格の上昇要因となる可能性は残っている。